3Dプリントの反りはなぜ起こる?ウォーピングの原因と対策について解説!

3Dプリンター本体
3D Render of 3 Dimensional Printer

こんにちは!

「太平洋3DプリンターLab」を運営している、藤川太平洋です😊

3Dプリンターで大きなものを印刷していると、造形物の角や端が、ビルドプレートから浮き上がることがあります。

この現象は、

ウォーピング

と呼ばれます。

日本語では、単に「反り」と呼ばれることもあります。

印刷を始めたときは問題なく付いていたのに、途中で角が少しずつ持ち上がり、

「あれ……底面が平らじゃなくなっている?」

と気づくこともあります😇

反りが起こると、底面の形が変わるだけでなく、造形物がプレートから外れ、印刷そのものが失敗することもあります。

しかし、反りが起こる原因はひとつではありません。

  • プレートのよごれ
  • 温度の変化
  • 初期レイヤーの状態
  • フィラメントの種類
  • 造形物の形

などが、組み合わさって起こります。

今回は、ウォーピングが起こる仕組みや主な原因、初心者でも確認しやすい対策を紹介していきます!🙌


ウォーピングは造形物の端が反り上がる現象

ウォーピングとは、

印刷中に造形物の角や端が縮み、ビルドプレートから浮き上がる現象

です。

ビルドプレートとは、造形物を作るための板です。

「プリントベッド」や、単に「プレート」と呼ばれることもあります。

ウォーピングが起こると、次のような状態になります。

  • 四角い造形物の角が上へ浮く
  • 底面が平らではなくなる
  • 造形物全体が少し曲がる
  • 印刷途中でプレートから外れる
  • ノズルが浮いた部分へぶつかる

小さな反りであれば、印刷自体は最後まで終わることがあります。

しかし、底面の寸法が変わるため、ケースや組み合わせる部品では、正しく使えない可能性があります。


ベッド密着不良とウォーピングは少し違う

ウォーピングと似た問題に、

ベッド密着不良

があります。

ベッド密着とは、造形物がビルドプレートへ付くことです。

初期レイヤー(プレートへ最初に印刷される層)が最初から付かない場合は、ベッド密着不良が疑われます。

一方、ウォーピングでは、

最初は付いていた造形物が、印刷中に縮んで浮き上がる

という流れがよく見られます。

状態起こり方
ベッド密着不良最初の線からプレートへ付かない
ウォーピング最初は付いていたが、途中で角や端が浮く

ただし、ベッド密着が弱いほど、造形物は縮む力に耐えられません。

そのため、ベッド密着不良とウォーピングは、別の現象ではありますが、強く関係しています。


ウォーピングは材料が冷えて縮むことで起こる

FDM方式(フィラメントを熱でやわらかくし、一層ずつ積み重ねる方式)では、高温になったフィラメントをノズルから出して造形物を作ります。

印刷されたフィラメントは、時間がたつと冷えて固まります。

このとき、材料はわずかに縮みます。

造形物全体が同じ速さで冷えれば、縮み方もそろいやすくなります。

しかし実際には、

  • プレートに近い部分は温かい
  • 上側や外側は早く冷える
  • 角は複数の方向から冷やされる
  • エアコンや扇風機の風が当たる
  • 印刷したばかりの層だけが熱い

というように、場所によって温度が変わります。

冷え方に差があると、造形物の中に引っぱり合う力が生まれます。

この造形物の内側へ残る力は、

内部応力

と呼ばれます。

内部応力が、造形物をプレートへ固定する力より大きくなると、角や端が持ち上がります。

これがウォーピングの基本的な仕組みです。


反りやすさはフィラメントによって違う

フィラメントは、種類によって冷えたときの縮み方が違います。

一般的な傾向は、次のとおりです。

フィラメント反りやすさの傾向おもな注意点
PLA比較的反りにくい大きな平面や冷たい環境では反ることがある
PETGPLAより注意が必要温度や冷却、プレートとの相性を確認する
TPU形によっては変形する柔らかいため、反りよりも倒れや変形に注意する
ABS反りやすい周囲の温度を安定させる必要がある
ASA・PC反りやすい囲われた対応機種が向いている

実際の反りやすさは、同じ素材名でも製品によって変わります。

メーカーが用意している材料設定や、フィラメントに書かれている推奨条件を確認しましょう。


大きく平らな形は反りやすい

ウォーピングは、材料だけでなく造形物の形にも左右されます。

とくに反りやすいのは、

  • 底面が大きく平らな形
  • 四角く鋭い角がある形
  • 薄くて長い板
  • 高さに対して底面が小さい形
  • 材料を多く使う厚い形

などです。

大きな四角い箱では、長い辺が冷えて縮み、四隅を内側へ引っぱります。

その結果、角がプレートから浮きやすくなります。

丸い形や角がゆるやかな形は、力が一か所へ集まりにくいため、四角い形より反りをおさえやすい場合があります。


反りを見つけたら印刷を続けてもいい?

ごく小さな反りで、見た目や寸法を気にしない造形物であれば、そのまま印刷できることもあります。

しかし、反りが大きくなっている場合は、印刷を止めたほうが安全です。

浮き上がった部分へノズルがぶつかると、

  • 造形物が完全に外れる
  • 印刷位置がずれる
  • ノズルへ材料が付く
  • プリンターの動きをさまたげる
  • 周囲にフィラメントがたまる

といった問題につながります。

ウォーピングは、印刷が進むほど大きくなることがあります。

異常に気づいたら、無理に最後まで続けず、原因を確認してから印刷しなおしましょう。


反りが起きたときに最初に確認する5項目

ウォーピングが起きたときは、いきなり温度やZオフセットを大きく変えず、基本的な部分から確認します。

おすすめの順番は、次のとおりです。

  1. ビルドプレートを掃除する
  2. プレートとフィラメントの設定を確認する
  3. 初期レイヤーの状態を見る
  4. エアコンや扇風機の風を確認する
  5. ブリムや印刷する向きを見直す

一度にすべての設定を変えると、

「どの変更で直ったのかわからない!」

となります😇

まずは、ひとつずつ順番に確認しましょう。


対策1:ビルドプレートをきれいにする

最初に確認したいのが、ビルドプレートのよごれです。

プレートを手でさわると、見た目ではわかりにくい皮脂が付きます。

皮脂やほこりが付いていると、初期レイヤーがプレートへ付きにくくなります。

印刷開始時には付いているように見えても、造形物が縮む力に耐えられず、途中で端が浮くことがあります。

使用しているプレートの説明に合った方法で、表面をそうじしましょう。

また、そうじしたあとは、印刷する部分をなるべく手でさわらないようにします。

造形物を外すときも、プレートの端を持つようにすると、よごれを減らせます。


対策2:初期レイヤーの状態を確認する

反りを防ぐには、初期レイヤーが正しくプレートへ付いていることが大切です。

初期レイヤーの線は、少し押しつぶされ、となりの線と自然につながっている状態が目安です。

ノズルが遠すぎる場合

ノズルとプレートの距離が遠いと、フィラメントが丸い線のまま置かれます。

線どうしにすき間ができ、軽い力でもはがれやすくなります。

ノズルが近すぎる場合

ノズルが近すぎると、フィラメントが強く押しつぶされます。

線のふちが盛り上がったり、材料が出にくくなったりします。

ノズルとプレートの距離を補正する値は、

Zオフセット

と呼ばれます。

ただし、自動調整に対応したプリンターでは、プレートのよごれや取り付け方など、ほかの原因を確認してから調整しましょう。


対策3:正しいプレートと材料設定を選ぶ

スライサー(3Dモデルを印刷用のデータへ変えるソフト)では、使用するプレートやフィラメントを選びます。

ここで実物と違うものを選ぶと、

  • プレート温度
  • ノズル温度
  • 冷却ファン
  • 初期レイヤー速度
  • 材料を出す量

などが合わなくなる可能性があります。

まずは、実際に取り付けているプレートと、使用しているフィラメントが正しく選ばれているかを確認しましょう。

温度は高ければ高いほどよいわけではありません。

プレート温度が低すぎると密着しにくくなりますが、高すぎると底面がやわらかくなり、エレファントフットなど別の問題につながることがあります。

エレファントフットとは、底面付近が外側へ広がる現象です。

初心者のうちは、メーカーが用意した標準設定を基準にしましょう。


対策4:ブリムで接地面を広げる

底面が小さい造形物や、四隅が浮きやすい形には、

ブリム

が役立ちます。

ブリムとは、造形物の底面から外側へ広げる、薄い縁のことです。

接地面が広がるため、造形物が縮んで浮き上がろうとする力に耐えやすくなります。

ブリムは、とくに次のような形で使いやすいです。

  • 四角く大きな底面
  • 細長く立つ形
  • 接地する部分が少ない形
  • 角が浮きやすい形
  • 複数の小さな部品

ブリムの幅を広げるほど固定しやすくなりますが、材料の使用量や取り外す手間も増えます。

まずはスライサーの標準設定から試しましょう。


ラフトは最後の手段として考える

ブリムでも安定しない場合は、

ラフト

を使う方法があります。

ラフトとは、造形物の下へ作る、取り外し式の土台です。

造形物をプレートへ直接印刷せず、先に作ったラフトの上へ印刷します。

底面の形が複雑な場合や、どうしてもプレートへ安定しない場合に役立ちます。

ただし、ラフトには、

  • 材料を多く使う
  • 印刷時間が長くなる
  • 底面が荒れやすい
  • 取り外す作業が必要
  • 寸法へ影響する場合がある

という弱点があります。

ウォーピング対策では、まずプレートのそうじや初期レイヤー、ブリムを試し、それでも改善しない場合にラフトを検討しましょう。


対策5:急な温度変化や風を避ける

ウォーピングは、造形物の場所によって冷える速さが違うと起こりやすくなります。

そのため、印刷中は、

  • エアコンの風
  • 扇風機の風
  • 開けた窓から入る外気
  • 急な室温の変化
  • 冷たい場所への設置

に注意します。

とくに、冬の窓際や、エアコンの風が直接当たる場所では、片側だけが早く冷えることがあります。

プリンターを移動できない場合は、風向きを変えたり、直接風が当たらないようにしたりしましょう。

ただし、プリンターのまわりを布や段ボールなどで安易に囲うのはおすすめできません。

熱がこもり、電子部品や電源へ負担がかかる可能性があります。


印刷する向きや形を変える

設定を調整しても反りが起こる場合は、3Dモデルの向きや形そのものを見直します。

角が集中しない向きへ変える

大きな長方形をプレートの端と平行に置くよりも、少し回転させたほうが、冷え方やプレート上の位置が変わることがあります。

ただし、向きを変えれば必ず反りが直るわけではありません。

スライス後の接地面や印刷時間も確認しましょう。

鋭い角を丸くする

四角い造形物では、角へ力が集まりやすくなります。

設計を変更できる場合は、底面の角へ丸みを付けることで、反りをおさえられることがあります。

パーツへ分割する

大きく平らな造形物を、いくつかの部品へ分ける方法もあります。

1つあたりの大きさが小さくなれば、内部へたまる力も小さくなります。

その一方で、印刷後には接着や組み立てが必要です。


インフィルを増やしすぎない

インフィルとは、造形物の内側へ作る網目状の構造です。

丈夫にしたいからとインフィル密度を高くすると、造形物の中へ使われる材料が増えます。

材料が増えるほど、冷えて縮む部分も増えるため、形によっては内部応力が大きくなることがあります。

反りが起こる場合は、インフィルを100%にするのではなく、

  • 壁の枚数を増やす
  • インフィル密度を下げる
  • パターンを変える
  • 形を分割する
  • 必要な部分だけ補強する

といった方法も検討しましょう。

強さはインフィルだけで決まりません。

造形物が受ける力に合わせて、壁や形といっしょに調整することが大切です。


素材を変えることも対策になる

プリンターの形や設置環境によっては、使いたいフィラメントを安定して印刷できないことがあります。

たとえば、開放型のプリンターで大きなABS製品を印刷すると、周囲の温度を保ちにくいため、反りが起こりやすくなります。

その場合は、

  • ABSからPLAへ変える
  • 屋外用途なら対応したPETGを検討する
  • 反りをおさえた配合の製品を選ぶ
  • 小さな部品へ分ける
  • 囲われた対応プリンターを使う

といった方法があります。

素材名だけで判断せず、フィラメントメーカーの説明や、使用しているプリンターの対応素材を確認しましょう。


反った造形物をあとから直せる?

反った造形物を温めて、平らな板ではさむ方法が紹介されることがあります。

しかし、加熱すると、

  • ほかの部分まで変形する
  • 寸法が変わる
  • 積層面が弱くなる
  • 表面が傷む
  • 再び反る

可能性があります。

見た目だけを整える飾りであれば使える場合もありますが、寸法が必要な部品や、力がかかる実用品には向きません。

基本的には、原因を直して印刷しなおしたほうが確実です。


光造形方式でも反りは起こる

液体のレジンへ光を当てて固める光造形方式でも、反りや変形は起こります。

ただし、FDM方式とは原因や対策が少し違います。

光造形では、

  • レジンが固まるときの収縮
  • フィルムから引きはがされる力
  • サポートの不足
  • 洗浄や乾燥による変化
  • 二次硬化による収縮

などが、反りに関係します。

二次硬化とは、印刷と洗浄が終わった造形物へ、あらためて紫外線を当てて仕上げる作業です。


光造形ではモデルの向きとサポートを見直す

光造形で大きな平面をプレートと平行に置くと、1層あたりの断面が広くなります。

断面が広いほど、レジンタンクのフィルムから造形物を引きはがす力も大きくなります。

そのため、平らなモデルは少し傾けて配置し、1層ごとの面積を小さくする方法が使われます。

また、サポートが少ないと、まだ十分に固まっていない部分を支えられず、垂れたり曲がったりします。

反りが起きる場合は、

  • モデルを斜めに配置する
  • 反る部分へサポートを追加する
  • 薄く長い形を避ける
  • レジンに合った設定を使う
  • 後処理を均一に行う

といった点を確認しましょう。


洗浄と二次硬化でも変形することがある

光造形では、印刷直後に形が合っていても、洗浄や二次硬化のあとに反ることがあります。

薄く平らな造形物では、片側だけが強く硬化すると、縮み方に差が出る場合があります。

洗浄後は十分に乾燥させ、レジンメーカーが案内している条件で二次硬化を行いましょう。

必要に応じて、サポートを付けた状態で二次硬化し、形を保つ方法もあります。

ただし、サポートを硬化後に外すと、跡が大きくなる場合があります。

造形物の見た目や形に合わせて判断しましょう。


反り対策は原因を順番に切り分けよう

ウォーピングは、ひとつの設定だけで直るとは限りません。

次の順番で確認すると、原因を見つけやすくなります。

確認する順番見直す内容
1プレートのよごれと取り付け
2プリンター・プレート・材料の設定
3初期レイヤーとZオフセット
4ブリム、風、周囲の温度
5素材、造形物の向きや形

まずは、プレートをきれいにして、標準設定で小さなテストを行います。

それでも反る場合は、ブリムや設置環境、モデルの形を順番に見直しましょう。


まとめ:ウォーピングは温度差と収縮によって起こる

ウォーピングとは、造形物の角や端が縮み、ビルドプレートから浮き上がる現象です。

おもなポイントをまとめると、

  • フィラメントが冷えて縮むことで起こる
  • 温度差が大きいほど反りやすくなる
  • ベッド密着が弱いと浮き上がりやすい
  • 大きく平らな形や鋭い角は注意が必要
  • 光造形でも硬化収縮やサポート不足で反る

という現象です。

反りが起きたときは、いきなり細かな設定を変えるのではなく、プレートのそうじや材料設定から確認しましょう。

そのあと、初期レイヤー、ブリム、設置環境、造形物の形という順番で見直すと、原因を切り分けやすくなります😊


最後に

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

ウォーピングは、3Dプリンターを使っていると遭遇しやすいトラブルのひとつです。

とくに大きな造形物や、ABSなどの縮みやすい素材では、温度とベッド密着が重要になります。

まずは、

プレートをきれいにする
標準設定を確認する
初期レイヤーを見る

という基本から始めてみてください。

このサイトでは、3Dプリンターの設定や専門用語、印刷時のトラブルについて、初心者向けにわかりやすく紹介しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!🙌✨

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