こんにちは!
「太平洋3DプリンターLab」を運営している、藤川太平洋です😊
3Dプリンターの設定を見ていると、
- 壁
- 壁の枚数
- 外壁
- 内壁
- トップレイヤー
- ボトムレイヤー
といった言葉が出てきます。
「壁と外壁は同じもの?」
「壁の枚数を増やすと、何が変わる?」
「インフィルを増やせば、壁は少なくてもいい?」
と迷ってしまいますよね。
壁は、造形物の見た目を作るだけでなく、丈夫さや重さ、印刷時間にも関わる大切な部分です。
今回は、FDM方式(フィラメントを熱でやわらかくし、一層ずつ重ねる方式)における壁の役目や、壁の枚数、トップ・ボトムレイヤーの考え方を、初心者向けに紹介していきます!🙌
壁は造形物の外側を作る部分
3Dプリンターにおける壁とは、
造形物の外周にそって作られる部分
のことです。
FDM方式の3Dプリンターは、ノズルから出した細い材料を何本も並べて、造形物を作ります。
そのうち、輪郭にそって作られる部分が壁です。
造形物の内側には、インフィル(内部を支える網目状の構造)が入ることがあります。
大まかに分けると、
- 外側を囲う部分:壁
- 内側を支える部分:インフィル
- 上側を閉じる部分:トップ面
- 下側を作る部分:ボトム面
という作りになっています。
壁は完成したあとも外から見えるため、造形物の形や表面の見た目にも大きく関わります。
外壁と内壁のちがい
壁は、さらに外壁と内壁に分けられます。
外壁
外壁とは、
造形物の一番外側に作られる壁
です。
完成品の表面として見えるため、
- 表面のきれいさ
- 寸法の正しさ
- 積層痕の見え方
- キズや段差の目立ちやすさ
などに関わります。
スライサーでは、
- 外壁
- Outer Wall
- External Perimeter
などと書かれています。
外壁の印刷速度を少し下げると、表面をきれいに作りやすくなる場合があります。
内壁
内壁とは、
外壁よりも内側に作られる壁
です。
外からは見えにくい部分ですが、外壁を支えたり、造形物の強さを高めたりする役目があります。
壁を3枚に設定した場合は、一般的に一番外側の1枚が外壁、その内側に残りの壁が作られます。
ただし、印刷する順番や細い部分での処理は、スライサーの設定によって変わります。
壁の枚数は外周を何本の線で作るか
壁の枚数とは、
造形物の外周に、材料の線を何本並べるか
を決める設定です。
たとえば、壁の枚数を3枚にすると、造形物の輪郭にそって材料の線が3本並びます。
壁の枚数を増やすと、外周部分が厚くなります。
そのため、
- 横から押す力
- 曲げる力
- ネジでしめる力
- 落としたときの衝撃
などに強くなりやすいです。
丈夫なものを作りたいときは、インフィル密度だけでなく、壁の枚数も確認しましょう。
壁の枚数を増やすメリット
壁の枚数を増やすと、次のようなメリットがあります。
- 外周部分が厚くなる
- 造形物が割れにくくなりやすい
- ネジや部品を取りつけやすくなる
- 表面を削ったときに穴が開きにくい
とくに、外から力を受けるケースや固定具では、壁が丈夫さに大きく関わります。
インフィルを100%に近づけるよりも、壁を増やしたほうが、少ない材料で効果を得られる場合があります。
ただし、防水性や気密性は、壁を増やすだけでは保証できません。
積層のすき間や印刷状態によっては、水や空気が通ることがあります。
壁を増やすと材料と時間も増える
壁の枚数を増やすと、そのぶんフィラメントの使用量と印刷時間も増えます。
壁を必要以上に増やすと、
- 完成品が重くなる
- 印刷時間が長くなる
- フィラメントを多く使う
- 内部のインフィルが入る場所が減る
- 小さな形では内部がほぼ材料でうまる
といった変化があります。
すべての造形物を、壁6枚や8枚で作る必要はありません。
見た目を確認する試作品と、実際に力がかかる部品では、必要な壁の枚数がちがいます。
壁の厚さは線幅と枚数で決まる
壁の厚さとは、
外周部分に作られる壁全体のおおよその厚み
です。
壁の厚さには、壁の枚数だけでなく、
線幅
も関係します。
線幅とは、ノズルから出した材料1本ぶんの横幅です。
たとえば、線幅が約0.4mmの場合は、
- 壁1枚:約0.4mm
- 壁2枚:約0.8mm
- 壁3枚:約1.2mm
- 壁4枚:約1.6mm
という厚さが、おおまかな目安になります。
ただし、実際の線幅はノズル径とまったく同じとは限りません。
0.4mmノズルでも、スライサーでは0.42mmや0.45mmなどの線幅が使われることがあります。
また、細い部分では、スライサーが線の太さや本数を自動で調整することもあります。
そのため、
線幅×壁の枚数は、おおよその目安
として考えましょう。
正確な厚さを確認したい場合は、スライス後のプレビュー(印刷前の動きを確認する画面)を見ます。
強くしたいときは壁とインフィルの両方を見る
丈夫なものを作りたいとき、インフィル密度だけを高くする方もいると思います。
しかし、造形物の強さは、
- 壁の枚数
- 壁の厚さ
- インフィル密度
- フィラメントの種類
- 印刷する向き
- 造形物そのものの形
- 層どうしの付き方
などによって決まります。
とくに、曲げる力や外側からの衝撃に対しては、外周部分にある壁が重要です。
そのため、
「強度が足りないから、インフィルを100%にする!」
と考える前に、壁の枚数を増やす方法も試してみましょう。
一方で、上から強く押されるものや、内部までネジを入れるものでは、インフィルも必要です。
壁とインフィルは、どちらか一方だけを使うものではありません。
造形物が受ける力に合わせて調整します。
トップ面は造形物の上側を閉じる部分
造形物の一番上に見える面は、
トップ面
と呼ばれます。
スライサーによっては、
- Top Surface
- Top Shell
- Top Solid Infill
などと書かれています。
FDM方式では、内部へインフィルを作ったあと、その上に材料を何層も重ねて、上側を閉じます。
この重ねる層が、
トップレイヤー
です。
トップレイヤーの数が少なすぎると、インフィルのすき間をうまく閉じられず、
- 上面に穴が開く
- 表面がへこむ
- インフィルの模様が浮いて見える
- 上面が波打つ
といった問題が起こることがあります。
トップレイヤーは枚数より合計の厚さも大切
トップレイヤーは「何枚にするか」で設定できます。
しかし、枚数だけでなく、
完成したトップ面が何mmの厚さになるか
も大切です。
トップ面のおおよその厚さは、
積層ピッチ×トップレイヤーの枚数
で考えられます。
積層ピッチとは、1層ぶんの高さです。
たとえば、積層ピッチが0.20mmで、トップレイヤーが5枚なら、トップ面は約1.0mmになります。
一方、積層ピッチを0.10mmに変えても、トップレイヤーを5枚のままにすると、厚さは約0.5mmです。
つまり、積層ピッチを小さくしたときは、同じ厚さを保つためにトップレイヤーを増やす必要があります。
スライサーによっては、レイヤー数ではなく、トップ面の厚さをmmで指定することもできます。
ボトム面は造形物の下側を作る部分
造形物の一番下にある面は、
ボトム面
と呼ばれます。
その面を作るために重ねる層が、
ボトムレイヤー
です。
ボトム面は、最初にプレートの上へ作られます。
ボトムレイヤーを増やすと、
- 底面が厚くなる
- 下側からの力に強くなりやすい
- 内部が見えにくくなる
- 底へ穴が開きにくくなる
といった効果があります。
ただし、ボトム面の見た目は、レイヤー数だけでなく、使うプレートの表面にも左右されます。
なめらかなプレートを使えば、底面もなめらかになりやすく、細かな模様があるプレートでは、その模様が造形物へ写ります。
トップ・ボトムレイヤーを増やすとどうなる?
トップレイヤーとボトムレイヤーを増やすメリットは、次のとおりです。
- 上面や底面をしっかり閉じられる
- 穴やすき間ができにくい
- 表面を削っても内部が出にくい
- 上下方向からの力に強くなりやすい
- 光を通しにくくなる
一方で、
- 印刷時間が長くなる
- フィラメントを多く使う
- 完成品が重くなる
というデメリットもあります。
インフィル密度が低い場合は、インフィルの間隔が広くなります。
そのぶんトップ面を支える場所が少なくなるため、トップレイヤーを少し増やしたほうが、表面を閉じやすい場合があります。
上面の線の模様も選べる
トップ面やボトム面には、材料をどのような線で並べるかを決める設定があります。
これは、
表面パターン
と呼ばれます。
スライサーによっては、
- Surface Pattern
- Top Surface Pattern
- Top Fill Pattern
- Bottom Fill Pattern
などと表示されます。
代表的なものには、
- 直線状
- 同じ方向へ順番に並べる形
- 輪郭にそって並べる形
- 同心円状
などがあります。
表面パターンを変えると、
- 線の見え方
- 光の反射
- 表面の手ざわり
- 印刷にかかる時間
などが変わります。
まずは、スライサーに用意されている標準のパターンで問題ありません。
見た目を変えたいときに、ほかの形を試してみましょう。
アイロニングで上面をなめらかにできる
上面をなめらかに見せるための設定として、
アイロニング
があります。
アイロニングとは、トップ面を印刷したあと、熱いノズルでもう一度表面をなぞる機能です。
アイロンをかけるような動きで、少量の材料を出しながら、表面のすき間や凹凸を整えます。
うまく使えると、
- 上面の線が目立ちにくくなる
- 平らな面がなめらかになる
- 文字やプレートの表面を整えやすい
- 光沢のある見た目になることがある
という効果があります。
一方で、
- 印刷時間が長くなる
- 材料が多いと表面にかたまりができる
- 広い面ではムラが出ることがある
- 曲面やななめの面には効果が出にくい
という注意点もあります。
アイロニングは、トップレイヤーが少ないことでできた大きな穴を直す機能ではありません。
まずトップレイヤーやインフィルを正しく設定し、そのうえで表面をさらに整えたいときに使いましょう。
初心者はどのくらいの枚数から始める?
壁やトップ・ボトムレイヤーには、すべての造形物に使える正解はありません。
迷ったときは、スライサーに用意された標準設定から始めるのが基本です。
おおまかな目安としては、次のように考えられます。
形を確認する試作品
- 壁:2枚前後
- トップレイヤー:3~4枚前後
- ボトムレイヤー:3~4枚前後
短い時間で形を確認したい場合に向いています。
上面が広いものでは、トップレイヤーを少し増やしたほうが安心です。
一般的な小物や収納用品
- 壁:3枚前後
- トップレイヤー:4~5枚前後
- ボトムレイヤー:4~5枚前後
見た目、丈夫さ、印刷時間のバランスを取りやすい設定です。
力がかかる実用品
- 壁:4枚以上
- トップレイヤー:5枚以上
- ボトムレイヤー:5枚以上
造形物の形や使い方に合わせて調整します。
ただし、壁を増やすだけで安全な部品になるわけではありません。
人の体重を支えるものや、壊れると危険な部品では、十分な試験が必要です。
また、積層ピッチによって必要なレイヤー数が変わるため、枚数だけでなく合計の厚さも確認しましょう。
よくある失敗と見直す設定
側面が薄くて割れやすい
壁の枚数を増やす方法があります。
インフィルだけでなく、フィラメントや印刷する向きも確認しましょう。
上面に穴やへこみがある
- トップレイヤーを増やす
- インフィル密度を少し上げる
- インフィルパターンを見直す
- フィラメントの流れ方を確認する
といった方法があります。
アイロニングを使う前に、トップ面がきちんと閉じているかを確認しましょう。
底面がうすい
ボトムレイヤーを増やします。
積層ピッチを小さくした場合は、同じ厚さになるように枚数も見直しましょう。
表面が荒れている
外壁の速度、フィラメントの状態、ノズル温度などが関係します。
壁の枚数を増やすだけでは直らないこともあります。
光造形方式では壁をどう考える?
液体のレジンを光で固める光造形方式では、FDM方式のような「壁の枚数」は、基本的に使いません。
光造形では、3Dモデルの各層を面として固めるため、
- 外壁を何周するか
- トップレイヤーを何枚重ねるか
- ボトムレイヤーを何枚重ねて面を閉じるか
というFDM方式と同じ考え方にはなりません。
モデルをそのまま印刷する場合は、中までレジンで満たされた状態になります。
材料を減らしたい場合は、
中空化
を行います。
中空化とは、造形物の内側を空洞にして、外側へ一定の厚さを残す処理です。
この外側に残す部分も「壁」や「シェル」と呼ばれます。
光造形では、
- 壁の厚さ
- 造形物の大きさ
- 使うレジン
- 洗浄や二次硬化
- 内部へ残るレジン
- 印刷中に受ける力
などを考えて厚さを決めます。
また、中空化した造形物には、
排液穴
が必要です。
排液穴とは、内側に残った液体レジンや洗浄液を外へ出すための穴です。
光造形では、
壁の枚数ではなく、中空化したときに残す壁の厚さを考える
と覚えるとわかりやすいです。
迷ったら標準設定から少しずつ変えよう
壁やトップ・ボトムレイヤーは、造形物の丈夫さや見た目に関わります。
しかし、最初からすべての数値を変える必要はありません。
まずは、
- スライサーの標準設定で印刷する
- 側面や上面、底面を確認する
- 弱い場合は壁を1枚増やす
- 上面に穴がある場合はトップレイヤーを増やす
- 底がうすい場合はボトムレイヤーを増やす
- 印刷時間と材料の増え方を確認する
という順番で試しましょう。
一度に壁、インフィル、温度、速度をすべて変えると、
「どの設定を変えたから結果が変わったのかわからない!」
となります😇
まずは問題がある場所に関係する設定だけを、少しずつ変えるのがおすすめです。
まとめ:壁は造形物の見た目と丈夫さを作る部分
壁とは、FDM方式で造形物の外周にそって作られる部分です。
おもなポイントをまとめると、
- 一番外側に見える部分が外壁
- 外壁より内側に作られる部分が内壁
- 壁の枚数は外周へ何本の線を並べるかを表す
- 壁を増やすと外周部分が厚くなる
- 壁の厚さは線幅と枚数で決まる
- 丈夫さはインフィルだけでは決まらない
- トップレイヤーは上面を閉じる層
- ボトムレイヤーは底面を作る層
- 積層ピッチによって必要なレイヤー数が変わる
- アイロニングで平らな上面を整えられる
- 光造形では壁の枚数より中空化した壁の厚さを考える
という設定です。
初心者のうちは、まず標準設定を使い、側面や上面に問題があったときだけ、関係する数値を少しずつ変えてみましょう😊
最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
壁やトップ・ボトムレイヤーは、造形物の外から見える仕上がりだけでなく、丈夫さや材料の使用量にも関わります。
強くしたいからといって、インフィルだけを増やすのではなく、壁の枚数や厚さも確認してみてください。
また、積層ピッチを変えたときは、トップ・ボトムレイヤーの合計の厚さも忘れずに見直しましょう!
このサイトでは、3Dプリンターの設定や専門用語について、初心者向けにわかりやすく紹介しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!🙌✨
