積層ピッチってなに?印刷のきれいさ・印刷時間との関係について解説!

用語解説
3D Render of 3 Dimensional Printer

こんにちは!

「太平洋3DプリンターLab」を運営している、藤川太平洋です😊

3Dプリンターの設定を見ていると、

積層ピッチ

という言葉が出てきます。

スライサー(3Dモデルを印刷用のデータへ変えるソフト)によっては、

  • レイヤー高さ
  • 積層高さ
  • Layer Height

と書かれていることもあります。

設定には、

0.28mm
0.20mm
0.12mm

などの数字が並んでいますが、

「数字が小さいほどきれいになるの?」
「0.20mmと0.12mmは、何がちがう?」
「一番細かくしておけばいいのでは?」

と迷ってしまいますよね。

積層ピッチは、造形物の見た目だけでなく、印刷にかかる時間にも大きく関係する設定です。

今回は、積層ピッチの意味や選び方を、関係する用語といっしょにわかりやすく紹介します!🙌


積層ピッチは「1層の高さ」

積層ピッチとは、

3Dプリンターが一度に積み重ねる、1層ぶんの高さ

のことです。

フィラメントを使う3Dプリンターは、材料を細い線として出しながら、下から一層ずつ形を作ります。

この一つひとつの層を、

レイヤー

と呼びます。

たとえば、積層ピッチを0.20mmにした場合は、高さ0.20mmのレイヤーを何度も重ねていきます。

高さ20mmのものなら、単純に考えると約100層です。

積層ピッチを0.10mmにすると、同じ高さでも約200層が必要になります。

つまり、数字を小さくするほど、より細かな層に分けて印刷することになります。


数字を小さくすると、表面がなめらかになりやすい

積層ピッチを小さくすると、1層ごとの段差も小さくなります。

そのため、

  • 丸みのある形
  • ななめになった面
  • ゆるやかな曲面
  • 小さな文字
  • 細かな模様

などを、なめらかに見せやすくなります。

3Dプリンターで作ったものの表面には、材料を積み重ねた細い線が残ります。

この線や段差を、

積層痕

と呼びます。

積層ピッチが大きいほど、1層ごとの段差も大きくなるため、積層痕が目立ちやすくなります。

反対に、積層ピッチを小さくすると、段差が細かくなり、表面がなめらかに見えやすくなります。

とくに、上へ向かって少しずつ細くなる形では、積層ピッチによる差がよく見えます。

大きな積層ピッチでは階段のような形が見えやすくなり、小さな積層ピッチでは、その階段が細かくなります。


数字を小さくすると、印刷時間は長くなる

積層ピッチを小さくすると、同じ高さを作るために必要なレイヤーの数が増えます。

そのため、印刷時間も長くなる傾向があります。

たとえば、積層ピッチを0.20mmから0.10mmへ変えると、単純な層の数は約2倍になります。

実際の印刷時間が必ずきっちり2倍になるわけではありませんが、印刷する層が増えるぶん、完成までの時間は長くなります。

反対に、積層ピッチを大きくすると、必要な層の数が減ります。

そのため、

  • 大きさを確認するための試作品
  • 見た目をあまり重視しない部品
  • 大きな収納用品
  • 短い時間で形を確認したいもの

では、大きめの積層ピッチが使われます。

すべての印刷を一番細かな設定にすると、必要以上に時間がかかってしまいます。

見た目と印刷時間のどちらを優先するか

を考えて選ぶことが大切です。


積層ピッチだけで、すべての細かさは決まらない

積層ピッチを小さくすると、上下方向の段差を細かくできます。

しかし、横方向の細かさまで同じように上がるわけではありません。

横方向の仕上がりには、

ノズル径

も関係します。

ノズル径とは、やわらかくなったフィラメントが出てくる穴の太さです。

家庭用3Dプリンターでは、0.4mmのノズルが標準としてよく使われています。

ほかにも、

  • 0.2mm
  • 0.6mm
  • 0.8mm

などがあります。

細いノズルは、小さな文字や細かな形を出しやすい一方で、一度に出せる材料が少ないため、印刷時間が長くなります。

太いノズルは、一度に多くの材料を出せるため、大きなものを速く印刷しやすくなります。

また、ノズルから出した材料1本ぶんの横幅を、

線幅

と呼びます。

積層ピッチはおもに上下方向、線幅やノズル径は横方向の仕上がりに関係します。

そのため、とても小さな形をきれいに出したい場合は、積層ピッチを小さくするだけでなく、0.2mmなどの細いノズルを使う方法もあります。


積層ピッチは、ノズルの太さに合わせて選ぶ

積層ピッチは、好きな数字へ自由に変えればよいわけではありません。

使っているノズルの太さによって、安定して印刷できる範囲が変わります。

たとえば、0.4mmノズルで、ノズルの穴より大きな0.5mmの積層ピッチを設定しても、材料を安定して積み重ねることはできません。

反対に、必要以上に小さくすると、印刷時間だけが長くなり、思ったほど見た目が変わらないこともあります。

そのため、基本的にはスライサーに用意されている設定から選ぶのがおすすめです。

0.4mmノズルでは、次のような設定をよく見かけます。

積層ピッチ向いている使い方
0.28mm前後速さを重視した試作品や大きなもの
0.24mm前後見た目より印刷時間を優先したいとき
0.20mm前後速さと見た目のバランスを取りたいとき
0.16mm前後少し細かく仕上げたいとき
0.12mm前後曲面や細かな見た目を重視するとき
0.08mm前後とても細かな表現を試したいとき

はじめて設定する場合は、

0.20mm前後

から始めるとわかりやすいです。

多くのものは、0.20mm前後でも十分きれいに印刷できます。

その結果を見てから、もっと細かくしたい場合は0.16mmや0.12mmへ下げていきましょう。


作るものに合わせて積層ピッチを選ぼう

積層ピッチは、作るものの使い道に合わせて選びます。

大きさや形を確認する試作品

試作品では、表面の細かさよりも、早く形を確認することが大切です。

そのため、

0.24mmから0.28mm前後

の大きめな設定が向いています。

印刷時間を短くできるため、データを直してもう一度印刷する流れを進めやすくなります。

収納用品や室内用の小物

ケース、小物入れ、スタンドなどでは、

0.20mm前後

が使いやすいです。

見た目と印刷時間のバランスがよく、特別な理由がなければ、この設定で十分なことが多いです。

曲面や細かな模様があるもの

丸みのある形や、細かな模様をきれいに見せたい場合は、

0.12mmから0.16mm前後

が候補になります。

積層痕が細かくなり、曲面がなめらかに見えやすくなります。

とても小さな形を印刷する場合

積層ピッチを0.08mmなどへ下げる方法があります。

ただし、0.4mmノズルのままでは、横方向の細かな形に限界があります。

とても小さな文字や装飾を出したい場合は、0.2mmノズルの使用も検討しましょう。


最初の1層だけは、別の高さになることがある

スライサーの設定を見ると、

初層の高さ

という項目が用意されていることがあります。

初層とは、プレートの上へ最初に印刷されるレイヤーのことです。

「ファーストレイヤー」と呼ばれることもあります。

最初の層がプレートへうまく付かないと、その上へ印刷を続けることはできません。

そのため、初層だけは通常の積層ピッチとは別の値に設定されることがあります。

たとえば、通常の積層ピッチが0.12mmでも、初層は0.20mmで印刷するといった設定です。

初層を少し厚めにすると、小さな高さのズレを受け止めやすくなり、プレートへ安定して付けやすくなります。

初心者のうちは、初層の高さをむやみに変えず、スライサーの標準設定を使うのがおすすめです。


必要な部分だけ細かくすることもできる

曲面をきれいにしたいからといって、造形物のすべてを細かな積層ピッチで印刷する必要はありません。

スライサーには、場所によって積層ピッチを変える機能があります。

この機能は、

  • 可変積層ピッチ
  • 可変レイヤー高さ

などと呼ばれます。

たとえば、

  • まっすぐな壁は0.24mm
  • ゆるやかな曲面は0.16mm
  • 細かな形がある部分だけ0.08mm

というように変えられます。

これにより、

見た目をよくしたい部分だけ細かくし、全体の印刷時間をおさえる

ことができます。

全体を0.08mmで印刷すると時間がかかりすぎる場合は、可変積層ピッチを使う方法もあります。


光造形方式でも積層ピッチは使われる

液体のレジンへ光を当てて固める光造形方式でも、積層ピッチは使われます。

光造形では、液体のレジンを薄い層ごとに固めながら、少しずつ造形物を作ります。

積層ピッチを小さくすると、FDM方式と同じように、上下方向の段差が細かくなります。

そのため、

  • 曲面がなめらかに見えやすい
  • 小さな段差が目立ちにくい
  • 細かな形を表現しやすい

といったメリットがあります。

一方で、層の数が増えるため、印刷時間も長くなります。


迷ったら0.20mmから始めよう

積層ピッチには、どの造形物にも使える一つの正解があるわけではありません。

見た目を重視するのか、印刷時間を重視するのかによって、合う設定は変わります。

迷った場合は、

  1. まず0.20mm前後で印刷する
  2. 仕上がりと印刷時間を確認する
  3. もっと細かくしたければ0.16mmや0.12mmへ下げる
  4. もっと速くしたければ0.24mmや0.28mmへ上げる

という順番で試してみましょう。

一度にノズル温度や印刷速度まで変えると、

「何を変えたから結果が変わったのかわからない!」

となります😇

最初は積層ピッチだけを変え、見た目と印刷時間のちがいを比べてみるのがおすすめです。


まとめ:積層ピッチは、見た目と印刷時間を左右する設定

積層ピッチとは、3Dプリンターが一度に積み重ねる、1層ぶんの高さです。

主なポイントをまとめると、

  • 数字が小さいほど、1層ごとの段差が細かくなる
  • 小さくすると積層痕が目立ちにくくなる
  • 大きくすると短い時間で印刷しやすい
  • 可変積層ピッチで必要な部分だけ細かくできる

という設定です。

はじめての場合は、まず0.20mm前後の標準設定から試してみましょう。

そこから作るものに合わせて、見た目を重視するなら小さく、速さを重視するなら大きくしていくと、設定のちがいを理解しやすくなります😊


最後に

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

積層ピッチは、造形物の見た目や印刷時間を左右する大切な設定です。

数字が小さいほど高品質に見えますが、すべての印刷で一番細かな設定を使う必要はありません。

作るものの使い道や、必要な仕上がりに合わせて選んでみてください!

このサイトでは、3Dプリンターの設定や専門用語について、初心者向けにわかりやすく紹介しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!🙌✨

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