こんにちは!
「太平洋3DプリンターLab」を運営している、藤川太平洋です😊
3Dプリンターの印刷設定を見ていると、
- スカート
- ブリム
- ラフト
という言葉が出てきます。
どれも造形物のまわりや下へ追加で印刷するものですが、役割は同じではありません。
「とりあえずブリムを付けておけばいい?」
「ラフトのほうがしっかり固定できる?」
「スカートは何のために印刷しているの?」
と迷ってしまいますよね。
今回は、スカート・ブリム・ラフトの役割や違い、どのような場面で使うのかを、初心者向けに紹介していきます!🙌
- スカート・ブリム・ラフトとは?
- スカート・ブリム・ラフトの違い
- まず知っておきたい「初期レイヤー」とベッド密着
- スカートは造形物のまわりに印刷する線
- スカートで初期レイヤーの状態も確認できる
- スカートが向いている場面
- ブリムは底面から外側へ広げる薄い縁
- ブリムはウォーピング対策にも使われる
- ブリムのメリットと気になる点
- ラフトは造形物の下に作る土台
- ラフトでは造形物と土台の間にすき間を作る
- ラフトは材料と時間を多く使う
- 迷ったらスカート→ブリム→ラフトの順で考える
- 3つの設定を使う前に確認したいこと
- ブリムを外すときは造形物を傷つけないようにする
- 光造形方式ではラフトの役割が少し違う
- 光造形ではボトムレイヤーも密着に関係する
- まとめ:目的に合わせて3つを使い分けよう
- 最後に
スカート・ブリム・ラフトとは?
そもそも、スカート・ブリム・ラフトとは何なのでしょうか?
この3つは、
印刷の最初に、造形物の周囲や下へ追加する補助的な構造
です。
3Dプリンターは、ビルドプレートと呼ばれる板の上へ材料を積み重ねて、造形物を作ります。
このとき、印刷の最初から材料が正しく出ていなかったり、造形物がプレートへしっかり付いていなかったりすると、印刷の途中で失敗することがあります。
そこで、造形物本体とは別に、スカート・ブリム・ラフトを追加します。
スカート・ブリム・ラフトの違い
最初に、3つの違いをまとめて確認してみましょう。
| 設定 | 造形物との接触 | 主な役割 | 材料・時間 |
|---|---|---|---|
| スカート | 接触しない | 材料の出方や初期レイヤーの確認 | 少ない |
| ブリム | 底面の外周と接触する | 接地面を広げて、端の浮きをおさえる | やや増える |
| ラフト | 造形物の下全体と接触する | 別の土台を作り、印刷を安定させる | 大きく増える |
3つの中で、印刷への影響がもっとも小さいのがスカートです。
ブリムは、造形物の底面から薄い縁を広げます。
ラフトは、造形物の下に何層かの土台を作り、その土台の上へ本体を印刷します。
密着を強くしたいからといって、いつでもラフトを使えばよいわけではありません。
材料の使用量や取り外しやすさも考えて、必要なものを選びます。
まず知っておきたい「初期レイヤー」とベッド密着
スカート・ブリム・ラフトを理解するには、
初期レイヤー
について知っておく必要があります。
初期レイヤーとは、ビルドプレートへ最初に印刷される層のことです。
「ファーストレイヤー」と呼ばれることもあります。
ビルドプレートとは、造形物を作るための板です。
最初の層がビルドプレートへきちんと付くことを、
ベッド密着
と呼びます。
初期レイヤーがうまく付かないと、その上へ印刷を続けられません。
印刷の途中で造形物が動いたり、プレートから外れたりする原因にもなります。
反対に、強く付きすぎると、完成品を外しにくくなったり、底面が変形したりすることがあります。
スカート・ブリム・ラフトは、この初期レイヤーやベッド密着に関係する設定です。
ただし、3つとも同じ方法で密着を助けるわけではありません。
スカートは造形物のまわりに印刷する線
スカートとは、
造形物から少し離れた場所へ印刷する線
です。
造形物のまわりを囲むように、1周または数周の線を引きます。
スカートは造形物とつながっていないため、接地面を広げる効果はありません。
主な役割は、造形物を印刷する前に、ノズルからフィラメントが正しく出るかを確認することです。
印刷を始めた直後は、ノズルの先までフィラメントが届いていなかったり、前に使った材料が少し残っていたりすることがあります。
先にスカートを印刷することで、材料の流れを安定させてから、本体の印刷へ入れます。
スカートで初期レイヤーの状態も確認できる
スカートを見ると、初期レイヤーがどのように印刷されているかも確認できます。
たとえば、線が細すぎたり、プレートへ付かなかったりする場合は、ノズルとプレートの距離が遠すぎる可能性があります。
反対に、線が強く押しつぶされていたり、材料がほとんど出ていなかったりする場合は、ノズルが近すぎるかもしれません。
ノズルとプレートの距離を補正する値は、
Zオフセット
と呼ばれます。
最近の3Dプリンターでは、ノズルとプレートの距離を自動で調整する機種も増えています。
それでも、プレートのよごれやフィラメントの状態によって結果は変わるため、スカートを見ることで印刷前に異常へ気づけます。
ただし、Zオフセットを調整する方法はプリンターによって違います。
自動調整に対応した機種では、必要がないのに大きく変更しないようにしましょう。
スカートが向いている場面
スカートは、次のような場面に向いています。
- 造形物がプレートへ十分に付く
- 底面が広く、安定した形をしている
- 反りにくい小物を印刷する
- ノズルから材料が出るか確認したい
- 初期レイヤーの状態を見たい
- 材料の使用量をできるだけ増やしたくない
通常どおり印刷できる造形物であれば、スカートだけでも問題ありません。
造形物とつながっていないため、印刷後に本体から切り離す作業も不要です。
一方で、造形物の端が浮くのを防ぐ効果はほとんどありません。
密着が不安な場合は、ブリムやラフトを検討します。
ブリムは底面から外側へ広げる薄い縁
ブリムとは、
造形物の底面から、外側へ広げる薄い縁
です。
帽子のつばのように、造形物のまわりへ薄い面を追加します。
スカートと見た目は似ていますが、ブリムは造形物の底面とつながっています。
接地する面積が広がるため、造形物をビルドプレートへ固定しやすくなります。
とくに、
- 底面が小さいもの
- 細長く立っているもの
- 角が多いもの
- 端が反りやすいもの
- 小さな部品をまとめて印刷する場合
などに役立ちます。
ブリムはウォーピング対策にも使われる
印刷中に造形物の端が反り、プレートから浮き上がる現象は、
ウォーピング
と呼ばれます。
フィラメントは温められた状態で印刷され、冷えると少し縮みます。
造形物の場所によって冷え方に差があると、縮もうとする力によって角や端が持ち上がることがあります。
ブリムを付けると接地面が広くなり、端が浮き上がろうとする力に耐えやすくなります。
とくに、角が鋭い造形物では、角の近くへブリムが付くことで浮きをおさえやすくなります。
ただし、ブリムを付ければ、すべてのウォーピングを防げるわけではありません。
プレートのよごれ、温度、室内の風、フィラメントの種類なども関係します。
ブリムのメリットと気になる点
ブリムのメリットは、ラフトよりも少ない材料でベッド密着を助けられることです。
薄い1層を広げるだけなので、印刷時間もそれほど増えません。
印刷後は、造形物のふちから折ったり、切り取ったりして外します。
一方で、ブリムを外した場所には、小さな出っぱりや跡が残ることがあります。
必要に応じて、
- ニッパーで切る
- デザインナイフで整える
- ヤスリをかける
といった後処理を行います。
ブリムと造形物の間にすき間を設けられるスライサーもあります。
すき間を広げると外しやすくなりますが、造形物を固定する力は弱くなります。
初心者のうちは、まずスライサーの標準設定から試すのがおすすめです。
ラフトは造形物の下に作る土台
ラフトとは、
造形物の下へ先に印刷する、取り外し式の土台
です。
ブリムは造形物の外側だけに広がりますが、ラフトは造形物の底面全体の下へ作られます。
一般的には、ビルドプレートの上へ何層かのラフトを印刷し、その上へ造形物を作ります。
造形物はビルドプレートへ直接付くのではなく、ラフトの上へ付くことになります。
そのため、
- 底面がとても小さい
- 底面の形が複雑
- ブリムでも安定しない
- 反りやすい材料を使う
- 初期レイヤーを安定させにくい
といった場合に使われます。
ラフトでは造形物と土台の間にすき間を作る
ラフトと造形物が完全に一体化すると、印刷後に外せなくなります。
そのため、造形物とラフトの間には、わずかなすき間や、取り外しやすくする層が作られます。
この接触部分は、
インターフェース
と呼ばれることがあります。
インターフェースとは、造形物とラフトやサポートが接する部分です。
すき間が小さすぎると、ラフトが強く付き、外しにくくなります。
反対に、すき間が大きすぎると、造形物の底面が荒れたり、正しく固定できなかったりします。
まずは、プリンターやスライサーに用意された標準設定を使いましょう。
ラフトは材料と時間を多く使う
ラフトは造形物の下全体へ土台を作るため、スカートやブリムよりも多くの材料を使います。
印刷する層も増えるため、完成までの時間も長くなります。
さらに、ラフトに接していた底面は、
- 線の跡が残る
- 表面が荒れる
- 寸法がわずかに変わる
- 後処理が必要になる
ことがあります。
印刷後にはラフト全体を取り外し、捨てなければなりません。
そのため、ラフトは、
密着が不安だから、とりあえず毎回使うもの
ではありません。
まずは通常の印刷やブリムを試し、それでも安定しない場合にラフトを検討するのが基本です。
迷ったらスカート→ブリム→ラフトの順で考える
どの設定を使うか迷った場合は、次の順番で考えるとわかりやすいです。
いつもどおり印刷できるならスカート
底面が広く、プレートへ問題なく付く場合は、スカートを使います。
材料の出方と初期レイヤーを確認してから、本体の印刷へ入れます。
底面が小さい・端が浮くならブリム
細いものや底面積が小さいもの、角が浮きやすいものでは、ブリムを試します。
材料や印刷時間を大きく増やさず、接地面を広げられます。
ブリムでも安定しないならラフト
底面の形が複雑だったり、ブリムでも剥がれたりする場合は、ラフトを検討します。
ただし、材料、時間、底面の仕上がりへの影響が大きいため、必要な場合だけ使いましょう。
| 状況 | 選びやすい設定 |
|---|---|
| 通常どおり密着する | スカート |
| 底面が小さい | ブリム |
| 角や端が浮きやすい | ブリム |
| 細長く倒れやすい | ブリム |
| ブリムでも剥がれる | ラフト |
| 底面の形が複雑 | ラフトを検討 |
| 材料と時間をおさえたい | スカートまたはブリム |
3つの設定を使う前に確認したいこと
ベッド密着が悪いとき、すぐにブリムやラフトを追加したくなります。
しかし、別の原因によって初期レイヤーが付いていない場合もあります。
まずは、次の点を確認しましょう。
ビルドプレートがよごれていないか
プレートを手でさわると、皮脂が付きます。
見た目にはきれいでも、フィラメントが付きにくくなることがあります。
プリンターやプレートの説明に合った方法で、表面をきれいにしましょう。
正しいプレートを選んでいるか
スライサーで選んだプレートと、実際に取り付けているプレートが違うと、温度などの設定が合わない場合があります。
フィラメントに合った温度になっているか
ノズルやプレートの温度が低すぎると、初期レイヤーが付きにくくなることがあります。
フィラメントメーカーの推奨値や、用意されている材料設定を確認しましょう。
初期レイヤーが速すぎないか
最初から速く印刷すると、材料がプレートへ付く前にノズルが移動してしまうことがあります。
多くの標準設定では、初期レイヤーだけ速度がおさえられています。
プリンターの調整が合っているか
ノズルとプレートの距離や、プレートの傾きが合っていないと、スカート・ブリム・ラフトを使っても失敗することがあります。
自動調整に対応している機種では、キャリブレーション(印刷に必要な位置や動きを整える作業)を行いましょう。
ブリムやラフトは便利ですが、根本的な問題をすべて解決する設定ではありません。
ブリムを外すときは造形物を傷つけないようにする
ブリムは薄いため、手で折るように外せることがあります。
しかし、細い部品や小さな装飾がある場合は、ブリムといっしょに壊す可能性があります。
無理に引っぱらず、ニッパーなどで少しずつ切り離しましょう。
切った破片が飛ぶこともあるため、保護めがねがあると安心です。
ラフトも同じように、造形物へ強い力をかけず、端から少しずつ外します。
外れにくい場合は、無理に力を入れるのではなく、ラフトと造形物の間へ工具を入れられる場所を探しましょう。
刃物を使う場合は、手や体へ向けて動かさないように注意してください。
光造形方式ではラフトの役割が少し違う
液体のレジンへ光を当てて固める光造形方式では、FDM方式と同じ意味でスカートやブリムを使うことは一般的ではありません。
光造形では、ノズルから材料を出さないため、材料の流れを確認するスカートは必要ありません。
一方で、ラフトは光造形でも使われます。
光造形のラフトは、
サポートをまとめてビルドプレートへ固定するための土台
として使われることが多いです。
サポートとは、印刷中の造形物を支えるために追加する細い柱です。
造形物をプレートから少し持ち上げて印刷するときは、サポートの下にラフトを作り、ビルドプレートへ固定します。
これにより、
- 複数のサポートをまとめる
- ビルドプレートへの接地面を広げる
- 印刷中のサポートを安定させる
- 完成後にプレートから外しやすくする
といった効果があります。
ただし、ラフトを大きくすると、使うレジンの量や、ビルドプレートから外すときの力も増えます。
光造形でも、必要以上に大きなラフトを作ればよいわけではありません。
光造形ではボトムレイヤーも密着に関係する
光造形では、ビルドプレートへ最初に作る数層を、
ボトムレイヤー
と呼びます。
通常の層より長い時間、光を当てて固めることで、ビルドプレートへ強く付けます。
このとき光を当てる時間は、
ボトム露光時間
などと呼ばれます。
短すぎるとラフトや造形物がプレートから外れやすくなり、長すぎると強く付きすぎて外しにくくなることがあります。
光造形では、
- ラフトの形
- サポートの太さ
- ボトムレイヤーの数
- ボトム露光時間
- ビルドプレートの調整
などを合わせて考えます。
つまり、FDM方式ではスカート・ブリム・ラフトを使い分けますが、光造形ではラフトとボトムレイヤーがおもな確認項目になります。
まとめ:目的に合わせて3つを使い分けよう
スカート・ブリム・ラフトは、どれも印刷の最初に追加される構造ですが、役割はそれぞれ違います。
おもなポイントをまとめると、
- スカートは造形物から離れた線
- スカートは材料の流れや初期レイヤーの確認に使う
- ブリムは造形物の底面から外側へ広げる薄い縁
- ブリムは接地面を広げ、端の浮きをおさえる
- ラフトは造形物の下へ作る取り外し式の土台
- ラフトはブリムより材料と時間を多く使う
- ベッド密着が悪い原因を先に確認する
- 迷ったらスカート、ブリム、ラフトの順で検討する
- 光造形ではラフトがサポートを支える土台として使われる
という違いがあります。
普段どおり印刷できる造形物では、スカートだけで問題ありません。
底面が小さかったり、角が浮いたりする場合はブリムを試します。
ブリムでも安定しない場合に、ラフトを検討しましょう。
強力な設定を選ぶのではなく、
造形物の形や、起きている問題に合った設定を選ぶこと
が大切です😊
最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
スカート・ブリム・ラフトは見た目が似ていますが、それぞれ目的が違います。
スカートは印刷前の確認、ブリムは接地面の拡大、ラフトは造形物を支える土台として使われます。
ベッド密着が悪いときは、ブリムやラフトを追加するだけでなく、プレートのよごれや温度、初期レイヤーの状態も確認してみてください!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!🙌✨
